「創部雑感」
2010 年 7 月 29 日
「創部雑感」
第1期 大橋 一夫
西陵商高ラグビー部の発足周年を迎えるに当たり、その歴史の最初の頁をテープカット出来ることを感謝しながら、当時を思い起こしてみたい。
私達が入学した当時は戦後の混乱期で、クラブ活動らしいものは無く、授業後に手製のクラブやボールで野球のまね事をするのが楽しかった。ちょうどその頃、名経専のグランド(現名市大病院)で草野球で遊んでいた時、見慣れないボールを追いながら、走ったり、蹴ったり、投げ倒したりしている一団に目を奪われた。それが男のスポーツ、ラグビーとの最初の出会いであった。
昭和24年4月、学制改革で市立西陵高校がスタートした。幅英雄君(現OB会長)との出会いがあった。それを機に、ラグビー部創設の機運が高まり、同期の久野渉君(前OB会長)、入谷潤君と共に「西陵ラグビー部」誕生に参加することが出来た。
石ころだらけの運動場。ノースパイクの裸足。生キズが絶えることが無い。部員の数も少なく、他の部活の生徒も借りての連戦連敗の試合が続いた。それでも、部員全員ラグビーにかける情熱だけはあった。
初めての夏、ラグビー協会のご配慮で、秋本コーチの特訓を頂いた。それまで経験したことのない厳しい練習を通じて、“本物”を実感した。それは小便に血が混じる強烈な経験だった。50年経た今でも、鮮明に覚えている。
その甲斐あって、その年の9月、犬山高校との試合で、久野君が初トライ。続く11月の蒲郡高校との試合では、ラインアウトのボールを入谷君が相手ゴールに持ち込んだ。私はフッカーで、トライの喜びは少なかったが仲間のトライを通して、苦しい中に喜びを知った。これも、あれも、あの夏の厳しい練習のお陰だと思っている。
そして、その頃から監督として絶大な情熱と愛情をもってラグビー部を育てて下さった横地孝彦先生の献身を忘れることは出来ない。
かつて私達が所属したラグビー部が全国に名声を馳せ、その上、日本一を達成した。私達OBに最高の幸せを与えてくれた皆さんに「ありがとう!」と言える機会があろうとは感慨無量である。
山田耕二監督をはじめ、西陵ラグビー部の益々のご活躍とOB諸氏のご健勝を祈ります。